Indianapolis 500mile Race 予選Report

ロジャー安川、今季2戦目、
そして2度目のインディ500を予選12番手に


今回で88回を数えるインディアナポリス500マイルレース(通称:インディ500)。世界で最も長い歴史、40万人と言われる観客数、10億円を上回る賞金総額とそのどれをとってもケタ違いのスケールのレースである。毎年メモリアル・デー(戦没者記念日・5月の最終月曜日)の前日の日曜日に決勝レースが行なわれるが、通常のレースウィークの始まりはその3週間前(だからレースウィークではなくレースマンスと呼ぶことも)! まるまるこの5月の一ヶ月を使ってレースが行なわれることになる。

公式練習は5月9日にスタートした。これから6日間の走行を重ね、15日に、決勝の上位グリッドを決めるポール・デー(予選1日目)、16日に予選2日目、そして23日バンプ・デーが予選最終日となる。インディ500独特のルールで、予選は、このポール・デーでのトップタイムを出したものがポール・ポジションを獲得する。さらに翌日の2日目の計測車は、1日目の予選通過ドライバーより速いタイムを出しても、1日目のドライバーの次の順位しか得られない。そしてバンプ・デーは、出場台数33台以上の予選エントリーがあった場合、予選通過日に関係なくタイムの最も遅いクルマがはじき出されることになる。

また、他にもインディ500だけの特殊なルールがある。予選のエントリーはドライバーではなく車体(シャシー)でのエントリーとなる。そのため、ロジャーもプライマリーカーと、Tカーとよばれるスペアカーの2台をエントリーさせていて、エントリーはドライバーの数よりも多い50台以上。エントリーの中にはそのスペアカーを他のチームやドライバーに貸したりするチームもある。そして、自力で予選が通過できなさそうな場合に、速いドライバーに予選のハンドルを託したり、毎年予選を巡ってさまざまなドラマが見られるのもこのインディ500の面白さ。また、付け加えると予選アタックがアテンプトと呼ばれるのもこのインディならでは。

そして始まる予選は、やはりくじ引きで決まる。状況によっては、その順番をパスすることも可能。そうすると、車検待ちの列に並び直すことで、次のアテンプトへの順番が決まる(予選の順番が一巡した後は各自のタイミングでアテンプトできる)。また、一度走り出して計測が始まっても途中で取り止めることができる(これは「ウェーブ・オフ」と呼ばれる)。ウェーブ・オフは、1台のシャシーにつき2回までとなっている。予選はマシンがピットアウトして、2周のウォームアップラップの後、4周走行してその平均速度が予選速度として記録される。通常の予選であると2周してその内のどちらかのタイムのよかった周のタイムが予選タイムとなるが、インディでは4周の平均速度がそのタイム。走行する10マイルの走り全てが重要になるのである。また、予選は午後6時で終了する。ここまでにアテンプトできなければ、翌日以降の予選へ臨むことになる。

ロジャー安川は、昨年初めてインディ500にルーキーとして参戦。予選1日目に13番手のグリッドを獲得。決勝では10位フィニッシュとなっている。2度目の挑戦となる今年は、フル参戦した昨年とは変わり、チームを移籍し、第3戦INDY JAPAN 300からの参戦、まだ、今季2レース目となっている。現在ロジャーの2004年参戦計画はこのインディ500まで。しかし、この世界が注目するこの晴れ舞台で好成績を挙げることができれば、これ以降のシリーズへの出場を実現する可能性がある。そのためにも、ここで良い結果を出しておきたい。

オープニング・デーには、スペアカーのNo.16T Sammy(Honda/Gフォース/ファイアストン)のシェイクダウンを行ない(走行タイムは24番手)、2日目にはプライマリーカーで走り込み、早くも自己ベストを更新(平均時速217.704マイル・16番手)するなど、走行時間は短い中で順調にタイムを上げてきている。スロースタートであったものの3台体制を敷くレイホール-レターマンでは、3人のドライバーからデータを集めており、共同でクルマを作っていくという作戦、翌11日は218.900マイル(14番手)であったが、4日目には、ついに221.248マイル(約356.85km/h)で、この日の3番手のタイムを叩き出し。さらに5日目も221.093マイル(約356.60km/h)で2日連続のトップ3フィニッシュとなった。ロジャーは「マシンには満足しているし、信頼もできるようになっているし、もっと速くする余地もある」とコメント。

ポール・デーを前にした最後の走行日であるプラクティス6日目は、雨のため中止となり、中一日開けてポール・デーは開けた。この日は走行開始直前から雨が降り始め、予選を前に予定されていた練習走行枠が大幅に遅れ、予選のスタートも約1時間以上遅れることとなった。それでも、夕方6時の計測終了は変更されない。予選の走行時間が短くなったこと、そして午後遅くになって再び天気が悪化することも考えられるという状況の中でアテンプトする判断は非常に困難であった。ロジャーの順番は5番目(プライマリー)と12番目(スペア)の順番を引いていたが、ロジャーとチームは、プライマリーカーの仕上がりがよいため予選アタックにはプライマリーカーを使うと決定していた。

予選前の練習走行では、そのプライマリーカーの最後の調整を行ない、ロジャーは2番手の222.990マイルをマークし、好調さをキープし、ポールポジション獲得も夢ではない体制であった。

午後2時過ぎ予選開始。エド・カーペンター(No.52レッドブル・チーバー・レーシング)、ロビー・ゴードン(No.70チーム・ゴードン)、トニー・カナーン(No.11Tチーム・セブン・イレブン)、ブルーノ・ジュンケイラ(No.36Tパシフィケア)の4台がアタックを見送った。そのためロジャーに順番が回ってきた。一番最初に走り出すことは、目標となるタイムが見えてこない。そのため、ウェーブ・オフの判断も難しくなる。しかし、ここで順番を見送ると、午後6時までに次の順番がまわってくるか確証は持てない。そうすると最悪この日予選を通ったマシンの後ろに並ぶことになってしまう可能性もある。そのようなリスクを冒すことはできなかった。そこでロジャーは順番を見送ることなくアテンプトを開始した。

1周目=220.375マイル、2周目=220.190マイル、3周目=219.967マイル、4周目は219.591マイル。平均時速は220.030マイルであった。結局この日、21人のドライバーがアテンプトを終了し、ロジャーの予選順位は12番手となった。

ちなみにチームメイトのバディ・ライスが午後4時過ぎにタイムアタックをし、ポールポジション(平均時速222.024マイル)を獲得した。この日エントリーをしている27人のドライバーのアタック順が一巡し終えたのは午後5時直前であった。まだ、予選時間は終了まで1時間あり、この時間を使ってアタックを行なったドライバーは12人いた。
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